娘が中学の時の音楽の教科書。
たいそうご立派な邦楽のページがあり、ほぉー、と感心しました。
掲載されているカラー写真には、主人や私のよく知る邦楽演奏家さん方のお顔があり、娘も知ったお顔の方が教科書に載っていてウケていました。
で。
いつになったら授業で習ってくるのかと思いきや…。
ほぼまともに習わないまま3年間が過ぎました。
主に習ったのはヴァイオリンの実技。
ほぼ西洋音楽のみ。
教科書の内容には確か「勧進帳を聴きましょう」というのがあったような…。
↑
うろ覚えですが
CDを聴く、というもの。
「勧進帳のCD聴いた?」
と、娘に問うと、首を横に。
だよね…(−"−)
先生が教えられないんだもん。
仕方ないですよね。
2002年から邦楽教育が導入される、と決まって雀躍りしたものの…何年たってもそんなに変わらず。
そのご立派な音楽の教科書は、ほとんど使われることなくきれいなままで無用の長物に…。
私は大阪の府立高校で7年間、三味線の実技指導をさせて頂きましたが(年一度、2コマ授業を三学年)、補助金カットでなくなりました。
いったい、外部講師が幾らの講師料をもらっていたというのか…。
電車賃とご飯を食べたらほぼ無くなるくらいの日給です。
現在、15挺ほどもあるお稽古三味線は、とある高校の倉庫に眠ったまま。
楽器は使わないとどんどん傷みます。
可哀想に…。
50分授業のふたコマで、基本の持ち方から教えて、「さくらさくら」を弾くまで。
たまに受講希望の父兄を含む15名ほどを一斉に兵隊稽古。
それなりに大変でしたが、高校生はある程度、楽器をこなします。
留学生でも「さくらさくら」を弾いて、楽しそうに唄います。
きっと、中学生も、小学校の高学年も出来ます。
(もちろん個人差はありますが)
お三味線じゃなくてもいい。
和太鼓ばっかりじゃなくて…もっと色んな日本の楽器の音に触れさせてあげて欲しいです。
雅楽、箏曲、何でもいいんです。
とにかく学校にいる間に本物の和楽器の「生音」を聞かせてあげて欲しいと思います。
私は学校関係者じゃないからわかりかねますが…学校規模でできる邦楽教育…それほど大変なことなんでしょうか?
邦楽演奏者が日本の「絶滅危惧種」という現状。
これも時代の流れ、と受け止めるべきことなんでしょうか…。
文化にお金はかけられない、って言うけど、オリンピックの開会式だって文化がないと成り立たないと思います…音や美術のないところで行進だけしますか?
発展して来た自国の文化を融合させてこそ世界のイベントじゃなかろうか。
もはや、自国の文化は電子音を使った少女の合唱隊とアニメだけなのでしょうか。
古典芸能。
世界遺産っていうけど、まだ現役です。
古典かもしれないけど、進化もしてます。
決してとどまってません。
日本の素敵な「音」たち。
でも…
無くなり行く音たち…。
考えるほどに寂しい思いでいっぱいになります…。