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Author:imahujiwakami
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長唄会『三橙會』
【開催日】2018年 5月6日(日)
大阪 山本能楽堂にて

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ご訪問に感謝♪


「渇望」

長唄会を終えた私は少しばかり気持ちのバランスが保てなくなる時期がある。


会でお三味線を弾く‥長唄の演奏をする‥ということが楽しすぎて‥それが終わると、まるで麻薬患者が麻薬を取り上げられたかのような状態になる。(多分)


会を終えた私は、弾くことを‥長唄に触れることを「渇望」しているのだと思う。


私ごときが大げさな‥

と、自分でも思うのだけど‥。


それほど、気持ちよくお三味線を弾いているのだと思う。


もちろん、会の演奏は100点満点ではなく、反省点は多々あるのだけど‥でも、きっとそれを上回る「楽しさ」がそこにある‥。


これは、ひとえにご一緒頂く出演の皆様のお陰‥。


素敵な唄に身を横たえながら‥酸素たっぷりの水の中で泳ぐ魚のように気持ちよくお三味線を弾く‥。


こんな輝くような時間が他にあるだろうか‥と思う。


でも‥その「輝くような時間」は、実はそんなに沢山あるものではなく、実に下浚い(リハーサル)と本番の2回のみ‥。


本番当日は数十分を2回‥その輝く時間は瞬く間に終わってしまう‥。


シンデレラの如く、時計の針は早いのだ‥。


そしてまた別の機会‥。


素晴らしいと思える人達に交じってお三味線を弾く。


「あぁ、なんて素晴らしい音だろう。」


「‥なんて気持ちの良い音の空間なんだろう。」


数々の芸に痺れる自分。


「感動」という言葉では足りない。


芸に「痺れる」。


だって‥ご一緒しているのは日本有数の演奏者なのだから‥。


末席で一生懸命、必死で弾いているはずなのに、そんなことを考えてる自分がいて‥。


男性プロはこんなにも痺れる状況で仕事をされているのか‥と、思い知らされる。


‥上村松園さんの随筆集「青眉抄」の中にこんなくだりがある。

「これまでに何十度忌々しい腹の立つことがあったかしれない」


これは、彼女が女性であるということに対して‥という内容だけれども、私は、その痺れる芸の時間に身を置けない、「自身が血脈もない女である」ことに忌々しさを感じてしまう。


結婚し‥子供も授かり‥長唄をやって行ける‥これ以上は贅沢なこと‥と、自分ではわかっている。


でも、道を進むにつれ、鈍感で、今まで漠然としか見えていなかったものがはっきりとした形になって目の前に現れる。


‥突きつけられる。



よく勘違いされがちではあるが、私は男性に代わって女流を集めて長唄の仕事がしたいわけでは無い。


男性プロの仕事を目の当たりにする機会も多いので、自分にそこまでの技量は備わっていないことははっきりとわかっているし、男性プロの仕事を見るのが好きでもある。



‥ただ、上手な人と一緒に長唄の演奏をしたい‥。


それだけが私の望みなんだと思う‥。


美味しいものを食べるのは嬉しい。

美味しいお酒を飲むのも楽しい。

面白いお笑いを見るのも楽しい。

本を読むのも面白い。



でも、何か物足りない‥。


ふ‥と、自分が参加させて頂いた、ある演奏の録音を聴いてみた。


唄声があまりに優しくて‥


そして、お三味線を弾いている自分の音がとても楽しそうで‥


突然、悲しさが込み上げて来た。


ただただ悲しくて‥泣いた。



きっと今の私は、ここまで来て初めて本格的な「長唄」の味を覚え、「長唄」に飢えているのだと思う。


たかが長唄。


されど長唄。


私の「長唄」はまだ始まったばかりだ‥。
「芸風」というのがあって、芸は実に人それぞれ。


私はお三味線を弾いてて、師匠の芸に似ている、と言われることが一番嬉しい。


到底、師匠の芸に到達できるものではないけど‥。


師匠に長唄会のことをお伝えしたら、「それは、おめでたい✨ 頑張りなさい。」と‥。


更には応援の郵便が届き、思わず涙‥。


お越し頂くことが叶わなかったので、翌日にお電話を入れた。


「どうだった?うまくいった?」と、お尋ね下さるので、「はい、お陰様でたくさんのお客様にもお越し頂き、演奏も‥。」と、答えたら「そう♫それは良かった!何よりです。」と明るいお声‥。


ただただ長唄が好きで、師匠の元、お稽古して来ましたが不詳の弟子。


「演奏会なんて100年早い」と言われることも多い業界で、きっと、仰りたいことも沢山あると思う。


でも、都度、温かく見守って下さる。

師匠に会の報告する時はいつも、その温かさについ涙腺が緩む。


私に長唄の存在を教えてくれたのは母。


長唄の技術を教えて頂いたのは師匠。


二人のお名前から字を頂いて「和歌美」とつけました。


数年前‥


「貴方の師匠のように弾いていてはダメ」


「女流は女流の弾き方がある」


と、師匠の芸を全否定されたことがあった。


師匠のお稽古に行くことさえ阻まれた。


しかも演奏会の直前のこと。


思わぬ言葉に、どういうことか分からず、うろたえた。


すごく悩んで‥。


その時の演奏は迷ったものになってしまった。


でも、演奏を重ねるごとに、やっぱり自分は師匠の芸が好きだ、と。


そして、「貴方の師匠は素晴らしい芸をお持ちなんだよ。」と言ってくれる人もあり‥。


悩んだ末、吹っ切って前へ進むことに‥。


今はその途中。


でも、その方向に進んで、今は正解だったと思う。


それは、聴く人が、そして、師匠の芸をご存知の人が「その芸は素晴らしい」と、いろんな角度で教えて下さるから‥。


少しでも師匠の芸に近づきたいと思う。


今の私には「和歌美さんのお三味線は先生にそっくり」という言葉が何よりのご褒美。


その先はまだまだこれから‥。

『三橙會』いよいよ明日になりました。



•受付はチケットの受け渡し等で混雑が予想されます。
お時間などお気をつけてご来場下さいます様お願い致しますm(_ _)m💦


•チケット代金をお支払いの方は出来るだけお釣りのないようにご用意頂けると助かります🙇‍♀️


•開演前は控え室にて調弦などのため、お目にかかれる時間がございませんが、終演後は皆様にお目にかかれるのを楽しみにしております。


何卒宜しくお願い申し上げます😊✨

それではご来場を心よりお待ち申し上げますm(_ _)m

今藤和歌美

「役優婆塞」

先日、地唄舞 山村若女先生のご奉納舞にて吉野 金峯山寺蔵王堂 にお伺いさせて頂きました。

演目は『島の千歳』と『静と知盛』。



折しも秘仏 蔵王権現様のご開帳期間で、なんと地方連中は内陣の中での演奏と相成ったのでした。

蔵王権現様の迫力と言ったら、それはもう素晴らしく‥権現様から背中を押して頂いているような‥そんな心地になりました。





金峯山寺の開祖は「役小角」、長唄『勧進帳』の中では『役優婆塞(えんのうばそく)』として名前が出て参ります。




ご奉納舞の前には兜巾(ときん)をつけた山伏姿の僧の方達による読経があり、法螺貝の音を初めて聞きました。

深く、とても迫力ある音で、古来から修行僧によって吹かれ、山に響く音を感じました。


『勧進帳』は兄頼朝と不仲になった義経を救うべく、弁慶と家来たちが山伏に身をやつして奥州平泉を目指す物語です。


弁慶は架空の人物と言われていますが、この、弁慶との物語があって、義経伝説はより劇的なものに仕上がっています。


そして、若女先生と若瑞さんが舞われた『静と知盛』。


静御前は義経の恋人で、悲しい別れに涙します。


蔵王堂に行かせて頂き、役優婆塞の坐像、山伏、静‥と、『勧進帳』に関わるものを肌で感じさせて頂くことが出来ました。


そしていよいよ今週末は『勧進帳』を弾かせて頂きます。


通常は大人数での演奏ですが、唄方二人三味線方二人という二挺二枚の形で、どこまで「勧進帳」を表現できるか‥。


吉野で頂いた経験を胸に精一杯挑みたいと思います。

ご奉納舞あと、直会にも参加させて頂き、美味しいお料理を頂きました。

鮎の塩焼き♫



料理旅館「芳雲館」の窓から見える山の景色と空気は素晴らしく、桜の時期もさぞ素晴らしいことと、皆様、感嘆しておりました。




貴重な経験をさせて頂きありがとうございました😊✨

さて、『三橙會』まであと3日。
竹本住太夫師の訃報を耳にして‥。


昨日は沢山のご弔問の方がお見えであった、と話す太明十郎‥やはり師との思い出に寂しい様子でした。


「第九回 望月太明藏・望月太明十郎の会」~初代望月太明藏五十回忌 二代目望月太明藏 二十七回忌追善演奏会~のパンフレットにご寄稿頂いたのは昨年のこと‥。





太明十郎から伺う師のご様子は、お人柄と芸を感じさせて頂くお話が多く、また、時には微笑ましいお話などもあり、いつも楽しくご様子を聞かせて頂いておりました。


住太夫師の浄瑠璃を拝聴して‥あぁ、文楽の舞台というのは太夫さんの語りが良いと、こんなにも芝居に入っていけるものなんだ‥と目が覚めたような一瞬がありました。


またある時、TVで話されていた師が「まだまだ下手やなぁ思いますわ。もっと上手く語らなあかん。」と仰っているのを聞いて、「あぁ、これだけの方でもご自分の芸に対してそのように思われる時があるんだ。私なんて悩んで当たり前やなぁ。」と‥ちょうど自分が悩み時期に入っていたので、余計にそのように感じ入って、頑張らなあかん、と更に思ったのでした。


26歳の時、長唄の師匠について、初めて文楽のお手伝いに行かせて頂いた時の「大星由良之助」は住太夫師でした。


師匠のワキでお三味線を弾かせて頂きながら、住太夫師と同じ公演で時を過ごさせて頂けるなんて‥こんな凄いこと‥と、感動していました。


義太夫と細棹の取り合いで芝居が運ぶ‥


ワキ三味線ではありましたが、ひとバチも絶対失敗しないように!と自分に言い聞かせ、本番までに何度繰り返し繰り返しお舞台の録音を聞かせて頂いたことかわかりません。


さすがにこの時は緊張で3㎏ほど痩せました。


住太夫師の素晴らしい浄瑠璃と、自分の師匠の輝くような音が録音されたその時の音源は、今でも私の宝物です。


あくまで個人的にではありますが、私にとって本当に大切で、そして大きな思い出を頂いた方でした。


心からお礼を申し上げると共に‥お悔やみを申し上げます。

合掌

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