『文楽を観に行こう会♫2021春』
まずは御礼申し上げます。
先日、予定していた鑑賞ツアーを開催させて頂きました。

中止について長らく迷っておりましたが、昨秋より各劇場へかなりの回数にわたり足を運んで感染状況に対しての様子を観察し、そして今回は思いの外、キャンセルの方が少ないこともありまして、思い切って開催させて頂くことに致しました。
いつもの開演前のあらすじ解説は人の集まる時間を少しでも少なくしようと、インスタライブのように動画で撮影して、前日までにご覧頂くことに。

緊急事態宣言が発令され、25日が千秋楽の予定だった文楽公演は、急きょ24日が千秋楽となり、今公演でご引退される吉田簑助師匠(人間国宝)の舞台挨拶がありました。

鑑賞ツアーを含め1部から3部まで客席に座らせて頂き、本当に奇跡のようなタイミングに、しばし呆けている自分がいました。
長唄の演奏を通じて、今までにも数々、「あぁ‥古典芸能の神様が微笑んで下さったのか。」と思える瞬間がありましたが、今もまさにその日であると実感しました。
簑助師匠のご引退発表に加え、緊急事態宣言‥
今公演では主人がお囃子でお世話になっていることもありますが、劇場でお目にかかる関係者の皆さまのお顔つき、そしてひと言、ふた言、言葉を交わす中で尋常でないご苦労を窺い知ることが出来ました。
そんな慌ただしい中、吉田和生師匠(人間国宝)は快く解説の依頼を受けて下さり、そして、前日までにも「こんな時やけど僕は大丈夫、それで、いつキャンセル(解説がなくなっても)でも気にせんと、大丈夫やから。」と温かく主人に言って下さった、と、聞いて、本当に涙が出ました。
解説時には重の井のお人形と、大切な大江巳之助さんの首(かしら)まで見させて下さり、首の造りなども丁寧に教えて頂きました。

他にも文雀師匠との思い出話、そして、驚いたのは太明十郎(お囃子マン)の父方の祖父手作りの下駄や帯板を今でも使って下さっている、とお話して下さり、私も太明十郎も大変驚いたのでした。
舞台で使われる下駄は、もう50年使って下さっているそうです。
三代お世話になっている文楽‥日本の伝統芸能の深みを感じ、そして、第二部では、思いもよらずご引退される簑助師匠の舞台挨拶もありで‥
もぅ‥何やら自分でも訳もわからず、感動やなんやらかんやら、感情の大波小波にやられる日でございました。
いやいや‥私は何をしているわけでもなく、ただ、偶然マンさんと結婚したから、ここにいる、というだけなのですが‥
でも、今回、非常にお出ましになりにくい中、ツアーにご参加頂いた皆様からは、いつも以上に温かなお気持ちを頂いた気がしております。
皆、声には出さないけど「頑張って❗️」と応援して下さっているのをひしひしと感じます。
簑助師匠の舞台挨拶でも「命がけで観に来て頂き‥」という文言がありました。
ホントにそうだ‥と、昨日のツアーにご参加下さった方にもそう思いました。
簑助師匠のお舞台は満場のお客様でした。
簑助師匠は『国性爺合戦』の錦祥女を遣っておられました。
ご登場の時も、舞台挨拶でも今は声をかけられないので、皆さん、精一杯の拍手をされていました。
私も手が痛くなるまで拍手しました。
今まで素晴らしい芸を観させて下さった簑助師匠に、そして、ご出演、公演に関わられている全ての皆様に‥。
なんかもぅ‥
いろんなことに心を揺さぶられまくりでした。
昨夜は仕事終わりのお囃子マンと帰宅。
終演後はお食事できるお店もなく、食べられるものを買って帰り、マンさんと色々話しながら飲んで食べて泣いて‥寝落ち、のていたらく。
今日もまだ興奮冷めやらぬ‥という私です。
「人」と「芸」‥
様々に抱える思い‥ですね。
翌日の夜にはインスタライブさせて頂く予定でしたので、泣き腫らしたので、顔も目もヤバかったです。
ご視聴下さる方には「ごめんくさい」「これまたくさい」でした。
天に召された大阪の芸人さんの芸に尊敬の念を込めて‥
たくさんの皆様に心から感謝を込めて‥
素晴らしい1日を本当にありがとうございました。